● 瘦せていても安心できない
「瘦せているから健康」と思っていませんか?
確かにスリムな見た目は一見健康そうに見えますが、必ずしもそうとは限りません。
太りすぎが健康リスクを高めることはよく知られていますが、実は痩せすぎも血糖値の乱れや生活習慣病につながる危険性があり、健康リスクを高めることがわかっています。
では、なぜ痩せすぎが健康に悪影響を与えるのでしょうか?
その背景には「筋肉の不足」が深く関わっています。
● 瘦せすぎと筋肉不足が健康に与える影響
痩せすぎると、体を支える筋肉まで不足しやすくなります。
筋肉は糖を取り込みエネルギーに変える重要な働きを持っているため、筋肉量が少ないと食後に血糖がうまく吸収されず、血糖値が高い状態が続きやすくなります。その結果、将来的に糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まってしまうのです。
痩せすぎは見た目の問題だけでなく健康そのものに影響するため、適度な筋肉を維持することがとても大切です。
では、そもそも痩せすぎとはどのような状態を指すのか。
そして、自分の体型はどのくらいに当てはまるのかを確認してみましょう。
● 体型を知るための測り方
健康的な体型かどうかを知るには、BMI(Body Mass Index)、体脂肪率、筋肉量など、いくつかの指標を見ていくことが大切です。
この中でも代表的なのが、身長と体重のバランスを表すBMI(体格指数) です。
しかし、これだけでは十分ではありません。 なぜなら、BMIだけでは筋肉の多さや脂肪のつき方までは分からないからです。
例えば、筋肉が多い人は体重が増えて数値が高くても健康的であり、逆に数値が普通でも筋肉が少なく脂肪が多いと健康リスクが高くなることがあります。
このように、体型を正しく知るためには、BMIに加えて筋肉量や体脂肪率もあわせてチェックするのがおすすめです。
○ BMI(Body Mass Index)
→ 体重と身長から算出される「体重と身長のバランス」を示す体格指数。
式:「BMI = 体重(kg) ÷ [身長(m) × 身長(m)」
日本の基準では、
・18.5未満 …「低体重(痩せすぎ)」
・18.5〜25未満 …「普通」
・25以上 …「肥満」
日本では、BMIが22のときが最も病気になりにくいとされており、統計的にも健康を維持するのに理想的な体重として「標準体重(適正体重)」と呼ばれています。
高齢者(65歳以上)はBMI22〜27が望ましい範囲とされることが多いです。
○ 体脂肪率
→ 体重のうち「脂肪」が占める割合のこと
〈一般的な健康の目安〉
・男性:体重の約15〜20%
・女性:体重の約20〜28%
○ 骨格筋量(筋肉量)
→ 自分の意思で動かせる筋肉の量
(例:走るときや、物を持ち上げるときに使う筋肉)
〈一般的な健康の目安〉
・男性:体重の約33〜39%
・女性:体重の約27〜33%
BMIは、体重と身長を公式に当てはめれば簡単に算出できますが、体脂肪率や骨格筋量を知るには体組成計などの測定器が必要です。
家庭用の体組成計でも手軽に測れますが、より正確に把握したい場合はジムや医療機関の専用機器(例:InBody)での測定がおすすめです。
数値はあくまで目安なので、自分に合ったバランスを大切にしましょう。
では、実際に筋肉が不足すると体にどんな影響があるのでしょうか?
ここからは筋肉の役割について見ていきましょう。
● 筋肉は体を支える大切な存在
筋肉は、ただ体を動かすためにあるだけではありません。私たちの健康を守る「土台」として、とても大切な役割を担っています。
例えば、
・血糖値を下げるお手伝い:食事で摂った糖を筋肉が取り込むことで、血糖値の急な上昇を防ぎます。
・代謝を保つ力:筋肉が多いほどエネルギーを消費しやすく、太りにくい体になります。
・姿勢や体の安定:体をまっすぐ支えたり、ケガを防ぐためにも筋肉は欠かせません。
ここで注目したいのは、筋肉が「体を動かす力」以外にも多くの役割を果たしていることです。
筋肉は「血糖値の安定」「代謝アップ」「血流改善」「骨や関節の保護」など沢山の機能を果たしており、健康に欠かせない役割を担っています。
● 筋肉を育てるための食生活
そんな重要な筋肉を増やすためには、どのような食生活を心がけたら良いのでしょうか?
① 毎回の食事で、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などバランスよくたんぱく質を摂りましょう。
例:朝は卵とヨーグルト、昼は焼き魚や鶏の照り焼き、夜は豆腐入りスープなど ↓
② 食事量が少なすぎると、せっかくのたんぱく質が筋肉づくりに使われず、体を動かすエネルギーとして消費されてしまいます。筋肉に使う分を確保するためにも、ご飯は茶碗に軽く1杯、パンなら1枚を目安に主食を摂ることが大切です。
例:野菜だけの食事や極端なカロリー制限ではなく、ご飯やパンなどの主食を適量摂る↓
③ ビタミンやミネラルは筋肉を効率よく働かせるサポート役です。野菜や果物も忘れずに摂りましょう。
例:昼食のお弁当にブロッコリーやトマトをプラス、間食にバナナやみかんを取り入れる↓
④ プラスαで取り入れたい工夫
・水分補給(筋肉の働きにも大切)
・買い物時に「毎回1つたんぱく質源を選ぶ習慣」を意識
・揚げ物より蒸す・焼くを選んで、脂質を抑えながら筋肉づくりをサポート
● 日常の工夫で筋肉を守る
食事と合わせて、日常生活の中で少しでも体を動かすことが大切です。
・エスカレーターより階段を使う
・1駅分歩いてみる
・ストレッチや簡単な筋トレを習慣にする
無理な運動ではなく、できることから始めるのがポイントです。
体を動かすことが苦手でも、ちょっとした工夫で自然と筋肉を保ちやすくなりますよ♪
● まとめ
瘦せている体型は一見健康そうに見えても、筋肉不足によって血糖値や体調に影響が出やすいことがあります。
筋肉は代謝や血糖コントロール、血流改善、姿勢維持やケガの予防まで、まさに「健康の土台」といえる存在。だからこそ、毎日の食事や生活の中で「筋肉づくりを意識する」ことがとても大切です。
毎日の小さな工夫が未来の大きな健康につながっていくかもしれません。
無理のない工夫を重ねて、筋肉と健康を育てていきましょう😊